不登校の親の対応、親だけが変わっても子どもは変わる?
「本人が相談を嫌がるんです」
「親だけが相談しても、意味はあるんでしょうか」
初回のご相談で、非常に多くいただく質問です。
お子さん本人が支援を拒んでいると、親御さんは手詰まりを感じます。
ですが、親だけが動くことには、はっきりとした意味があります。
今日は、それを裏付ける海外の研究を紹介します。
親だけが相談して意味はあるのか
結論から言うと、意味はあります。
子どもは、家庭という環境の中で毎日を過ごしています。
その環境の中で、一番影響が大きいのは、毎日顔を合わせる親御さんの関わり方です。
本人が変わるのを待つより、親御さんの関わり方が先に変わる方が、家庭全体は動きやすい。
これは、私が現場で長く感じてきたことでもあります。
RAYの支援も、中心は親御さんへのアドバイスです。
お子さんが相談の場に来ないことは、珍しいことではありません。
むしろ、本人が「相談なんて行かない」と言っている段階から、親御さんが先に動き始めるご家庭の方が多いくらいです。
親だけが学んで、子どもの不安が減った研究
アメリカのイェール大学のチームが、不安障害と診断された7〜14歳の子ども124人を対象に行った研究があります。
子どもたちは、2つのグループに分けられました。
1つは、子ども本人が認知行動療法を受けるグループ。
もう1つは、親だけがプログラムを受け、子どもは参加しないグループです。
どちらも、週1回60分を12回行いました。
結果は、親だけが学んだグループでも、子どもの不安は、本人が治療を受けたグループと同じくらい減りました。
親御さん自身のストレスも、両方のグループで下がっています。
この研究は2019年に、アメリカの児童青年精神医学会の学術誌に掲載されました。(米国立衛生研究所(NIH)による紹介記事)
親の『先回り』が不安を長引かせる
この親向けのプログラムで、親御さんが見直したのは『先回り』です。
子どもの不安を和らげようとして、親が子どもの代わりに動いたり、不安の元を遠ざけたりする行動のことです。
研究の紹介では、分離不安の子どもと毎晩一緒に寝る、人が苦手な子どものために来客を断る、といった例が挙げられています。
どれも、子どもを思っての行動です。
その場の不安は、確かに軽くなります。
ですが、子どもが自分で不安を乗り越える機会は、そのぶん減っていきます。
不登校の家庭で起きやすい先回り
不登校のご家庭でも、同じような『先回り』は起きやすいものです。
学校の話題を出すと不機嫌になるので、家では一切触れない。
朝の欠席連絡を、毎日親が先に入れておく。
本人が嫌がるので、先生からの電話や家庭訪問を断る。
どれも、お子さんがその場で困らないための対応です。
ただ、続けるほど「学校のことは考えなくていい」状態が、家の中にできあがっていきます。
必要な関わりと、やりすぎの線引きは、こちらの記事でも書いています。
【ご相談】お子さんの状況は、ご家庭ごとに違います。 どこから手をつければいいか分からないときは、まず今の様子をお聞かせください。 LINEで無料相談 / お問い合わせフォーム
先回りを減らすときに気をつけること
注意したいのは、先回りを一度に全部やめることではない、という点です。
研究のプログラムでも、親御さんは、どの対応を減らすかを一つずつ決めていきます。
減らすときに大切なのは、お子さんの気持ちを受け止める言葉を、一緒に伝えることです。
「不安なのはわかるよ」と受け止めたうえで、本人がやることは本人に任せる。
たとえば、朝の欠席連絡を、毎日親御さんが先に入れていたとします。
これを、本人がその日どうするかを自分で決め、自分の口で伝える形に変えていく。
最初は嫌がるかもしれません。
それでも、自分のことを自分で決める経験は、学校に戻るときの土台になります。
減らす順番は、お子さんの状態によって変わります。
いきなり一番大きな先回りから手をつけると、親子の関係がこじれることもあります。
小さなものから一つずつ、が基本です。
突き放すことと、先回りをやめることは違います。
気持ちには寄り添い、行動は肩代わりしない。
この2つをセットにすることが大切です。
研究から言えること、言えないこと
最後に、誤解のないように書いておきます。
この研究の対象は、不安障害と診断された子どもです。
不登校そのものを調べた研究ではありません。
「親が変われば、不登校が必ず解決する」と言える研究でもありません。
それでも、本人が相談に来なくても、親御さんの関わり方が変わることで、子どもの状態が動くことを示した意味は大きいと考えています。
【まとめ】 ・本人が相談を拒んでいても、親だけが動く意味はある ・見直すのは、不安の元を遠ざける『先回り』 ・気持ちには寄り添い、行動は肩代わりしない
親御さんが先に変わることは、遠回りではありません。
一人で抱えずに、お子さんの今の様子を、お気軽にお聞かせください。





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