春休みの過ごし方で新学期の登校は変わる
- 2 日前
- 読了時間: 10分
代表理事略歴
・(一社)家庭教育支援センターペアレンツキャンプにて東京支部室長を10年歴任
・(一社)不登校解決支援センターRAY代表理事
・文部科学省家庭教育支援研究委員
所持資格
・公認心理師/教育カウンセラー/家庭教育アドバイザー/復学支援カウンセラー
SNSでは『こまち先生』として活動し、総view数は100万を突破!
この時期になると「4月からは行く」と話し始めるお子さんは少なくありません。特に、冬休み明けに登校できず、「新学期からやり直したい」と目標を置き直してきたご家庭では、その言葉に期待が集まりやすい時期です。
ただ、ここで見落としてはいけないことがあります。それは、「4月から行く」と言っていることと、実際に行けること、さらにその日から続くことは別だという点です。
本記事では、春休み中の過ごし方が新学期からの登校にどう影響するのかを整理し、朝に崩れてしまったとき家庭で何を避け、何をしていくべきかをまとめました。
この記事でお伝えしたいこと
「4月から行く」が本気かどうかは、春休み中の準備行動に表れやすいこと
新学期に一度登校できても、続くかどうかは別問題であること
朝に動けなくなったとき、親御さんが最初にやるべきことは「何とか行かせること」ではないこと
春休みの過ごし方で、新学期の登校結果はかなり変わります
長期欠席をしているお子さんでも、「4月からは行く」と話すことがあります。仮にこれまで何度もその言葉に裏切られてきたとしても、この言葉自体は決して軽く扱うべきではありません。そこには、「このままではよくない」と本人なりに感じている気持ちが含まれていることが多いからです。
ただし、問題はそこから先です。本当に新学期からの登校を考えている子には、春休みの過ごし方にある共通点が見られます。
たとえば、
生活リズムを整えようとしている
春休み課題に手をつけている
遅れている勉強を少しずつ進めている
体力を戻そうとしている
制服、靴、教科書など学用品を確認している
こうした準備です。机の上に教科書が出ている。制服を気にしている。朝の時間を少し意識し始める。小さな変化ですが、ここに現実感が出ます。
逆に言えば、何の準備もないまま「4月から行く」と言っている場合、本人の中で学校生活がまだ現実になっていないことが少なくありません。
もちろん、準備が十分でないから絶対に行けない、という話ではありません。ただ、現場感覚としては、準備が乏しいまま始まった登校は、数日で止まるか、長くてもGW前後で苦しくなるケースが多いです。
「行けるか」と「続くか」は、分けて考えたほうがいい
ここを曖昧にすると親御さんの見立てが甘くなります。
新学期に一日行けた。数日続いた。見た目には前進です。ですが、それだけで安心するのは危険です。
なぜなら、その先で止まる子の多くは、「毎日通う生活がどういうものか」を、まだ自分の中で引き受けきれていないからです。
どこかで、
「なんとかなるだろう」「最悪また行けなくなっても仕方ない」
という逃げ道が残っています。
ぼんやりしたまま春休みを過ごし、いざ始まってみたら、思ったよりしんどい。朝は早い。人も多い。授業もある。体力も落ちている。気持ちが追いつかない。そこで一気に嫌気がさすというのはよくある流れです。
能力の問題ではありません。意識の弱さの問題です。もっと正確に言えば、「弱い自分に引っ張られる場面で、まだ踏ん張りきれない」状態が現れやすいということです。
数日通ってから「お腹が痛い」と身体症状を訴える子。順調に見えた朝、急に布団から出てこなくなる子。ある朝突然「もう行かない」と言い切る子。
形はいくつかありますが、内側で起きていることはどの現れ方をしていてもかなり近いものがあります。
朝に崩れたとき、まずやるべきは「親が落ち着くこと」です
ここで多くのご家庭が崩れます。子どもではなく、先に親御さんが崩れている状態です。
「何とか行かせないと」
「このままだとまた長引いてしまう」
「せめて校門までは」
朝の限られた時間、焦りは一気に膨らみます。空気もピりついていき、時計の進み方ばかりが気になってしまうものです。
そうなると、動かないお子さんに対してイライラが先に立ち、結局は感情をぶつけてしまい、お互いに嫌な思いをして終わってしまうということが非常に起こりやすくなります。
これはかなりまずい状態と言えます。なぜなら、その朝に登校できなかったこと以上に「朝のやり取りが親子関係を傷つけること」のほうが、あとあとになって重く効いてくるからです。
冷静になる、というのは、優しくしましょうという綺麗ごとではありません。まずマイナスになる対応を止める、という意味です。
詰める
急かす
正論で押す
感情で責める
この場で動かそうとし続ける
これを意識して避けるように心がけてみましょう。これだけでも返ってくる反応は随分変わってきます。
朝は「この場で動かす」をいったん手放す
おすすめしているのは、朝の時点で「何とかこの場で動かそう」とする意図を手放すことです。
遅刻の時間になるまでは時おり時間だけを伝えながら様子を見る。そして、遅刻の時間が過ぎたらいったん声をかけない。
ここで「あなたなら頑張れるよ」といった余計な押し引きを続けると、親子ともに消耗するだけで建設的な会話にならないことがほとんどです。
押せば動く段階なのか、もうそうではないのか。そこは慎重に判断しなければいけません。
支援の現場では、結果的に体調不良で休んだとしてもお昼や夕方になるとけろっとした様子で部屋から出てくる子も多く見られます。そのときに朝のことをうやむやにせず、「今朝のことを一緒に話してみよう」と声をかけることが大切です。
朝は戦場ですが、夕方は、まだ対話ができる余地があります。
ここで「話を蒸し返すと子どもが嫌な顔をするから」と揉めない対応を選び続ける限り、家庭の中に根付いてしまった過保護な対応パターンを乗り越えることはできません。
大事なのは、夕方に「何が起きていたか」を分かち合うこと
素直に会話に応じるなら、まずは率直に聞いてみてください。
「今朝、何がしんどかった?」
「どの辺から動けなくなった?」
「何を考えてた?」
それと同時に、親御さん側がどんな思いだったのかも分かち合います。
「無言で時間だけが過ぎるのを見ているのは正直つらかった」
「心配だった」
「悲しかった」
ここでやってはいけないのは尋問にすることです。正しさをぶつける時間ではありません。
必要なのは、朝に起きたことを親子で現実として一緒に見ることです。
素直に話せない子には、そうなった理由があります
ここも見落としやすいところです。
夕方に声をかけても素直に話せない子はたくさんいます。
黙る。はぐらかす。面倒くさそうにする。あるいは「別に」と会話自体を打ち切ってしまう。
このとき、「この子は本音を話さない」と片づけるのは簡単です。
しかし、どれだけ見たくない現実だとしても、これまでの親子会話の中で「素直に話すと損をする」と学んできた可能性を考えなければ先に進めなくなってしまいます。
たとえば、素直に話をすると
正論で詰められる
否定される
うまく言葉にできないのに急かされる
勝手に気持ちを決めつけられる
話しても結局わかってもらえない
こうした経験が積み重なると子どもは話さなくなります。それは反抗ではなく心を守るための防御です。
自ら進んで仲が悪くなりたい親子はいません。話せない状態には、それなりの理由があります。
「なぜこうなっているのか」を親側が見直す必要があります
ここで必要なのは、子どもに「もっとちゃんと話しなさい」と求めることではありません。まず親側が、「なぜ自分たちの会話はこうなっているのか」を考えることです。
助けたい気持ちが強すぎて、先回りしていないか
不安が強すぎて、自分の不安を埋めるための会話になっていないか
正しさを急ぎすぎて、子どもの気持ちを飛ばしていないか
子どもに話させるより、自分が説明して終わっていないか
痛い話ですが、ここを見ない限り親子の関わり方は変わりません。
そして、関わりが変わらなければ、結果も変わってくることはまずありません。
今日から家庭で意識したい3つのこと
1. 「4月から行く」という言葉より、準備行動を見る
言葉だけで期待しすぎないことです。生活リズム、課題、学用品、体力。何に取り組んでいるか。そこを冷静に見ましょう。
2. 朝は感情で押さない
この場で何とか動かそうとし続けると、悪化しやすいです。まずはマイナス対応を止める。そこが出発点です。
3. 夕方以降の対話をうやむやにしない
朝の失敗をそのまま流すと、同じことが繰り返されます。話せる時間に、短くてもいいので「今朝のことを一緒に見直す」機会をつくりましょう。
同じようなケースに、RAYではこう関わっています
RAYでは、こうしたケースに対して「朝どう動かすか」だけを見ません。春休み中の準備行動、親子の会話パターン、朝に崩れたあとの関わり方まで含めて整理していきます。
特に多いのは、お子さんの問題だけに見えて、実際には
親御さんの焦り
会話の詰め方
春休み中の過ごし方の甘さ
家庭内での役割の偏り
が重なっているケースです。
親御さんだけで抱え込むとほとんどの場合視野が狭くなります。
朝の一回一回に振り回され、肝心の全体像が見えなくなってしまい、どうしたらいいかわからないからひとまずこれまで通りの対応をとってみたり、なんとなく良さそうだと思った対応を試してみたりしてしまいます。
ご夫婦間での対応の見つめなおしや、第三者による客観的な意見を確認することがその状況を打破するかもしれません。
よくあるご質問
Q. 春休み中に課題や勉強が全然できていません。それでも4月から間に合いますか?
間に合う可能性はあります。ただし、その場合は「行けるか」より「続くか」を慎重に見たほうが良いでしょう。準備不足のまま始まる登校は、最初の数日で息切れしやすいからです。生活リズム、学用品、朝の動き方など、まずは現実的な土台を整えていきましょう。
Q. 朝に動けなかった日の夕方、子どもが普通にしていると腹が立ってしまいます
自然な反応です。ただ、その腹立ちをそのままぶつけると、子どもは「やっぱり話さないほうが得だ」と学びます。まずはご自身の気持ちを落ち着けたうえで、「今朝のことをうやむやにしたくない」と事実ベースで切り出すほうが建設的です。
Q. 話そうとしても「別に」「覚えてない」で終わります。どうしたらいいですか?
その場合、いきなり核心を聞きすぎていることがあります。「なんで行けなかったの?」ではなく、「朝のどの辺がいちばんしんどかった?」「声をかけられるのが嫌だった?」「一人でいたかった?」など、答えやすい形に変えてみてください。加えて、普段の会話で否定や先回りが多くなっていないかも見直す必要があります。
まとめ
春休みは、ただ休む時期ではありません。新学期からの登校が現実になるかどうか、その土台が見える時期です。
大切なのは、
「4月から行く」という言葉だけで安心しないこと
春休み中の準備行動をよく見ること
朝に崩れたとき、感情で押さず、夕方以降の対話につなげること
です。
お子さんが話せないのにも理由があります。親御さんの関わり方にも、変えられる部分があります。そこを見ずに「4月からに賭ける」のは、正直かなり危ういです。
それでも、今こうして学ぼうとしている時点で、手遅れではありません。愛情が足りないのではなく、届け方がずれているだけのご家庭は本当に多いと感じています。
そこが変わると、春休みの過ごし方も、新学期の迎え方も変わってきます。
一人で抱え込まず、必要であればご相談ください。





コメント