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子どもの進路が心配なとき——「幸せになってほしい」と親の安心を分けて考える

11 分前
読了時間: 6分
自宅のテーブルで話す娘に父親が耳を傾ける、写真調のAI生成画像

例えば、子どもから「この学校に行きたい」と言われたとき。「でも、その先はどうするの?」「こっちの方が選択肢も広がるんじゃない?」と、気づけば親の方が長く話している。理由を聞こうと思っていたのに、最後は説得になってしまう。


心配だからこそ、考えてほしいことはたくさんあります。ただ、子どもがその進路を選びたい理由より、自分が別の進路を勧めたい理由の方を、よく知っているということはないでしょうか。


ある保護者は、過去の関わりを振り返る中で、こんな言葉を口にされました。


「自分の基準を守りたかった」

子どものために考えていたはずなのに、自分が受け入れられる選択かどうかを優先していた。その気づきから、これからの向き合い方を考え直していました。


子どもの幸せを願うことと、親が安心できる進路を選んでもらうこと。この二つが、いつの間にか同じになっていないか。 今回は、親子で進路や将来について話すときに、確かめておきたいことを考えます。


その進路の先に、何を願っているのでしょうか


「この学校に進んでほしい」「卒業したら、安定した仕事に就いてほしい」。そこには、将来お金に困ってほしくない、自分で生活できるようになってほしい、といった願いがあると思います。


親が経験してきたことや、苦労したことから勧めたくなる道もあるでしょう。その考えや経験は、子どもに伝えてよいものです。ただ、それが本人にも合うかどうかは、本人の話を聞きながら考える必要があります。


今回の保護者は、以前、子どもが希望した進路を受け入れにくく、別の選択を勧めていたと話していました。当時は、その希望を持った理由を分かろうとするよりも、自分の価値観を押しつけていたのではないか、と振り返っています。


ここで見直したいのは、「親が勧める道は間違い」ということではありません。勧めている道の奥に、どんな願いがあるかです。


例えば「この学校でなければ」と思っていても、その理由をたどると、「自分に合う仕事に出会ってほしい」「将来、困ったときにも選べる力を持ってほしい」という願いかもしれません。そこまで考えると、その願いを別の方法で叶える可能性についても、本人と話せるようになります。


「考えていない」と思う前に、聞けていることはあるか


子どもの準備が進んでいなかったり、楽な方を選んでいるように見えたりすると、「ちゃんと考えているの?」と言いたくなることがあります。


けれど、親に話していないことと、何も考えていないことは同じではありません。本人なりに考えている部分も、まだ整理できていない部分もあるかもしれません。


例えば、親には物足りなく見える進路でも、本人は「ここなら続けられそう」「この分野をもっと知りたい」と考えている可能性があります。逆に、話を聞いてみたら、費用や必要な準備までは調べていないと分かることもあるでしょう。


「なぜそこを選びたいのか」「そこで、どんなことをしてみたいのか」。まずは、本人が今考えていることを聞いてみてください。将来の職業まで、すぐに答えを出す必要はありません。「まだ分からない」なら、何に迷っているのかを知るところからです。


日常の会話にも、その子が大切にしたいことを知る機会はあります。最近面白かったこと、嫌だったこと、やってみたいこと。進路の話をするときだけ急に深く聞くのではなく、普段から耳を傾けておきたいと思います。


口を出さないことと、大事な話を避けることは違います


今回の保護者は、気になったことを毎回指摘する関わりも見直していました。


「自分の中では正論あるけど、あえて言わない」

本人も困っているときに、「だから前から言っていたでしょう」と重ねて、何を伝えたいのか。自分が言ってすっきりするだけになっていないか。そう考えて、言わずに収められることが増えたと話していました。


一方で、気になることを全部見ないようにするわけでもありません。将来の生活や、家族にも関わる費用、期限など、向き合って話す必要のあることはあります。


本人の選択を尊重することと、その選択をどう実現するか一緒に確かめることは、両立できます。


例えば、本人が説明会に行くと言っていたものの、予約が済んでいるか分からない場面。「いつになったら予約するの?」と責める前に、落ち着いて話せるときに「説明会のこと、少し聞いてもいい?」と切り出す。まず予定や考えを聞き、そのうえで「締切が近いから、今どうなっているか気になっている」と、見ている事実と自分の心配を伝える方法もあります。


準備をするのは本人。手続きに分からないところがあるなら、必要に応じて一緒に確認する。学費など家庭が支える範囲は、親も具体的に伝える。誰が何をするのかを分けながら、話していきます。


安全に関わることや、本人だけでは対処できない困り事まで、求められるのを待つという意味ではありません。


本人の希望を、説得の材料にしない


本人が「こうなりたい」と話してくれたら、その希望と今の行動を一緒に考えることができます。ただし、「そうなりたいなら、これをやるべきでしょう」と、親の結論に従わせるために使わないことが大切です。


例えば、「人と関わる仕事がしたい」と聞いたからといって、親が考える就職先に進むことまで、本人が望んでいるとは限りません。


「その希望につながる経験として、何ができそう?」「今の選択では、どんなことを期待しているの?」。こちらの見方も伝えながら、本人の考えを確かめていきます。話しているうちに希望が変わったり、まだ決められないと分かったりすることもあります。


親の意見が変わることもあってよいのです。知る前と知った後で、子どもの選択の見え方が変わる。その余地を持って話を聞きたいと思います。


今回の保護者は、以前の関わりを振り返ったうえで、これからの願いをこう話してくださいました。


「否定じゃなくて、なんか共に。そういう親でありたいなって。」

親が道筋を決めてから聞くのではなく、話を聞きながら一緒に考えていく。選ぶのは本人であっても、その過程に親が関わることはできます。


次の会話の前に、自分に聞いてみたい三つのこと


子どもの希望を聞いても、心配がなくなるとは限りません。「やっぱり別の道の方が」と感じることもあるでしょう。その気持ちを無理に消すよりも、何を心配しているのかを具体的にしてみてください。


  • 自分が願っているのは、その進路そのものか。その先にある、どんな生活や安心か。

  • 本人が選びたい理由を、本人の言葉で聞いたことがあるか。

  • 次の会話では、何を指摘する前に、何を聞いてみたいか。


この問いは、過去の接し方を責めるためのものではありません。次にどう向き合うかを考えるためのものです。


例えば、「就職につながるのかが心配なんだ」と気づいたなら、その心配を率直に伝えながら、本人は卒業後をどう考えているのか聞けます。今すぐ答えが出なければ、何を調べて、いつ頃また話すかを相談することもできます。一度で納得させようとせず、本人が考える時間も残しておきましょう。


子どもの幸せを願って勧めた道が、その子にとっても望む道なのか。親にも、聞いて初めて分かることがあります。


心配が残っていても、一緒に考える関わりは選べます。 子どもの進路について話す時間が、親自身の願いや価値観を見直す時間にもなる。そんな向き合い方を、日々の会話から重ねていきたいと思います。


日常の助言や「普通は」という言葉を見直す視点については、「良かれと思って」が逆効果になる子育てもご覧ください。


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パソコンとスマホを操作する女性、コーヒーカップが近くに置かれています。

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