朝の体調不良は仮病?本当に悪い?不登校の朝に起きていること
- 16 時間前
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代表理事略歴
・復学支援機関にて東京支部室長を10年歴任
・(一社)不登校解決支援センターRAY代表理事
・文部科学省家庭教育支援研究委員
所持資格
・公認心理師/教育カウンセラー/家庭教育アドバイザー/復学支援カウンセラー
SNSでは『こまち先生』として活動し、総view数は100万を突破!
不登校や行き渋りのご相談では、「前日の夜までは“明日は学校に行く”と言っていたのに、朝になるとお腹が痛いと言い出す」「登校時間を過ぎると元気になるので、仮病なのではないかと思ってしまう」というお話をよく伺います。
朝になると、腹痛、頭痛、吐き気、微熱、強いだるさが出る。あるいは、どうしても布団から起き上がれない。
このような状態を見ると、親御さんとしては迷うと思います。
本当に体調が悪いのか。それとも、学校に行きたくないから言っているだけなのか。
結論から言えば、まずは「その瞬間のつらさは本当にある」と考えた方がよいです。ただし、「本当に体調が悪いなら、学校のことは一切考えなくてよい」という意味ではありません。
この記事では、朝の体調不良をどう見立てるべきか、そして不登校対応として何を見る必要があるのかを整理します。
この記事でお伝えしたいこと
朝だけ体調不良になる子どもの中で起きていること
「仮病か本当か」で見ることの限界
体調不良があるときに、家庭で確認したいポイント
医療的な確認と、不登校支援をどう切り分けるか
「明日から行く」と言っていたのに、朝になると動けない
不登校支援の現場では、前日の夜には本人が前向きに話しているケースがよくあります。
「明日は行く」
「来週から行く」
「4月からは行く」
「次の月曜日から頑張る」
本人なりに、学校へ戻る日を決めている。親御さんも、それを聞いて少し安心する。
ところが、実際にその日の朝になると、子どもが動けなくなることがあります。
「お腹が痛い」「頭が痛い」「気持ち悪い」「熱っぽい」「眠くて起きられない」「体が重い」
このような身体症状が出て、結果的に学校へ行けなくなる。
このとき、親御さんはとても混乱します。前日の夜には行くと言っていた。本人も行く気があるように見えた。でも朝になると、まるで別人のように動けない。
ここで大事なのは、「前日の言葉が嘘だった」と決めつけないことです。
前日の夜に「行く」と言った時点では、本当に行くつもりだった可能性があります。ただ、実際に朝を迎え、制服を着る、支度をする、家を出る、学校に入るという現実が近づいたとき、身体が強く反応してしまうことがあります。
つまり、本人の意志が弱いだけではなく、学校に向かう場面で心身が止まってしまっている可能性があります。
朝だけ悪くて、登校時間を過ぎると元気になる理由
親御さんが「仮病ではないか」と感じやすいのは、登校時間を過ぎると子どもが元気に見えるからです。
朝はお腹が痛いと言っていた。頭が痛いと言っていた。気持ち悪いと言っていた。でも、10時、11時になると少しずつ元気になる。昼頃にはテレビを見たり、ゲームをしたり、YouTubeを見たりしている。
この様子を見ると、親御さんが「結局、家では元気じゃないか」と感じるのは自然です。
ただし、ここで短絡的に「仮病」と判断するのは危険です。
起立性調節障害では、朝起きにくい、倦怠感、頭痛などが見られ、症状が午前中に強く、午後に軽くなる傾向があるとされています。日本大学医学部附属板橋病院の医療情報でも、起立性調節障害は自律神経機能不全による疾患で、重症では不登校やひきこもりにつながることがあると説明されています。
また、過敏性腸症候群では、腹痛、便秘、下痢、吐き気、頭痛、疲労、不安、睡眠障害などが見られることがあり、ストレスや不安などの感情的要素が症状のきっかけや悪化要因になることがあります。
つまり、朝だけ悪くて、その後よくなるからといって、すぐに「嘘」とは言えません。学校へ向かう時間帯に負荷が集中し、その時間を過ぎると身体の反応が落ち着くことがあります。
子どもが演技をしているのではなく、学校に向かう場面で身体が反応している。まずはそう見た方が、対応を誤りにくくなります。
まず医療的な確認は必要です
腹痛、頭痛、吐き気、微熱、強いだるさ、朝起きられない状態が続く場合は、まず医療機関で確認することが大切です。
特に、次のような場合は、自己判断で済ませない方がよいです。
発熱が続く
強い腹痛や頭痛がある
嘔吐や下痢が続く
体重減少がある
血便がある
失神や強いめまいがある
日常生活全体に大きな支障が出ている
朝だけでなく、休日や学校と関係ない場面でも症状が強い
過敏性腸症候群についても、MSDマニュアルでは、似た症状を起こす他の病気を確認するために検査が行われることがあると説明されています。起立性調節障害についても、鉄欠乏性貧血、心疾患、てんかん、内分泌疾患などを除外することが診断過程に含まれます。
ですので、最初から「心の問題」と決めつけるのも、「仮病」と決めつけるのも違います。
まず身体の問題を確認する。そのうえで、医療的には大きな異常が見つからない、あるいは起立性調節障害や過敏性腸症候群などの診断を受けた場合に、学校生活との関係を整理していく。
この順番が大切です。
「本当に痛い」と「学校に行けない理由」は分けて考える
ここがとても重要です。
お腹が痛い。頭が痛い。気持ち悪い。朝起きられない。
これは、その瞬間の本人にとって本当に起きている感覚として扱う必要があります。
しかし、それだけで「だから学校の話はできない」となると、対応が止まってしまいます。
身体症状があることと、学校に向き合う必要があることは、分けて考えた方がよいです。
たとえば、腹痛があるからといって、学校に行けない根本理由が腹痛だけとは限りません。腹痛は、学校に向かおうとしたときに出ているサインかもしれません。
その背景には、次のようなものが隠れていることがあります。
宿題ができていない。テストが不安。授業についていけない。友達とうまくいっていない。クラスに居場所がない。先生との相性が悪い。部活で嫌なことがあった。学校に行く意味がわからない。失敗した自分を見られたくない。
これらは、学校へ行けなくなる“きっかけ”としては大切です。
ただし、それだけが根本原因とは限りません。
大切なのは、「何があったか」だけで終わらせないことです。
その出来事を、本人がどう受け止めているのか。なぜ、それをきっかけに学校へ行けなくなるほど止まってしまうのか。そこまで見る必要があります。
体調不良の背景には、無気力や不安が隠れていることがある
文部科学省の令和6年度調査では、小・中学校の不登校児童生徒について学校が把握した事実として、「学校生活に対してやる気が出ない等の相談」が30.1%で最も多く、続いて「生活リズムの不調に関する相談」が25.0%、「不安・抑うつの相談」が24.3%と報告されています。
ここからわかるのは、不登校の背景には、単純な「怠け」や「わがまま」では説明できない状態があるということです。
学校生活に対してやる気が出ない。不安が強い。生活リズムが崩れている。気持ちが沈んでいる。朝になると身体が動かない。
こういった状態は、親御さんから見ると「気持ちの問題」に見えるかもしれません。しかし、本人の中では、気持ち、身体、生活リズム、学校への不安が絡み合っています。
だからこそ、「仮病か本当か」という二択では見立てが浅くなります。
本当に見るべきなのは、「この子は何から逃げようとしているのか」ではなく、「この子は何に向き合えなくなっているのか」です。
本人の性格傾向が、朝の体調不良を強めることがある
朝の体調不良は、学校で起きた出来事だけでなく、本人の性格傾向と関係していることがあります。
たとえば、次のような傾向です。
神経質で、失敗や人の反応を強く気にする
完璧主義で、少し崩れると一気に動けなくなる
プライドが高く、できない自分を見せることが苦手
頑固で、気持ちの切り替えに時間がかかる
嫌なことを避けることで安心しやすい
人に合わせ過ぎて、学校で疲れをためやすい
たとえば、宿題が終わっていない子がいたとします。
ある子は、「怒られるかもしれないけど、とりあえず行こう」と考えます。別の子は、「宿題を出せない自分を見られるくらいなら、学校に行きたくない」と感じます。
同じ出来事でも、受け止め方は子どもによって違います。
ここで、本人の中に「失敗した自分を見せたくない」「できない自分を知られたくない」「嫌な空気に耐えられない」という傾向が強いと、学校へ行くこと自体が大きな負荷になります。
その結果、朝になると身体症状として出ることがあります。
つまり、腹痛や頭痛だけを見るのではなく、「この子は何をそんなに避けたいのか」「どんな自分を見られることを怖がっているのか」「学校でどんな場面に耐えられなくなっているのか」を見ていく必要があります。
親御さんが避けたい対応
朝の体調不良が続くと、親御さんも焦ります。その焦りから、つい強い言葉が出てしまうことがあります。
「仮病でしょ」「本当は行きたくないだけでしょ」「午後は元気なのに、なんで朝だけ無理なの?」「そんなことを続けていたら、もっと行けなくなるよ」「とにかく行けば何とかなるよ」
気持ちはわかります。ただ、この言い方は多くの場合、逆効果です。
子どもは、責められたと感じると、自分の状態を説明するよりも、防衛に入ります。黙る。泣く。怒る。布団から出ない。「もういい」と言う。体調不良をさらに強く訴える。
こうなると、親子で話し合うこと自体が難しくなります。
避けたいのは、体調不良の真偽を問い詰めることです。「本当に痛いの?」「どのくらい痛いの?」「学校に行きたくないだけじゃないの?」と確認し続けても、状況はあまり進みません。
必要なのは、痛みを認めたうえで、その先を見ることです。
では、家庭ではどう声をかけるとよいのか
最初の声かけは、短くて構いません。
「お腹が痛いんだね」「朝になると、かなりしんどくなるんだね」「行こうとすると、体が止まる感じなんだね」
まずは、本人の身体感覚を否定しないことです。
そのうえで、落ち着いたタイミングで少しずつ整理します。
「朝の何が一番重い感じがする?」「学校のことを考えたとき、最初に浮かぶのは何?」「教室、友達、先生、勉強、どれが一番しんどい?」「行くとしたら、何が一つでも軽くなると行きやすい?」
ここで大切なのは、すぐに解決策を出し過ぎないことです。
「じゃあ先生に言ってあげる」「じゃあ宿題を一緒にやろう」「じゃあ部活を休みなさい」「じゃあ明日は絶対行こう」
こうした提案が必要な場面もあります。しかし、最初から親御さんが答えを出し過ぎると、本人が自分の問題として整理する機会が減ります。
まずは、本人が何に引っかかっているのかを言葉にする。その後で、家庭・学校・本人のどこに課題があるのかを整理する。
この順番が必要です。
「痛いなら休む」だけでは、再登校が止まりやすい
もちろん、強い体調不良がある日は休ませる判断が必要なこともあります。ただし、「痛いと言ったら休む」が毎回の流れになると、学校に向き合う機会がどんどん減っていきます。
朝、体調不良を訴える。休む。登校時間が過ぎる。少し元気になる。家で安心して過ごす。翌朝、また学校の時間が近づく。再び体調不良になる。
この流れが繰り返されると、本人の中で「学校に向かう不安」と「身体症状」と「休むことで得られる安心」が結びついていくことがあります。
だからこそ、痛みを疑うのではなく、痛みを前提にしたうえで、「どうすれば少しでも学校に近づけるか」を考える必要があります。
たとえば、いきなり通常登校を目標にするのではなく、状況に応じて次のような段階を考えることがあります。
朝、制服に着替えるところまで
玄関まで行くところまで
学校の近くまで行くところまで
保健室や別室に入るところまで
担任の先生に会うところまで
短時間だけ教室に入るところまで
ただし、これは家庭だけで無理に進めるものではありません。体調や本人の状態、学校側の受け入れ体制によって変わります。
医療的な配慮が必要な場合は、医師の判断を踏まえながら、学校と連携して進める必要があります。
体調不良の奥にある課題を見る
朝の体調不良への対応で本当に大切なのは、症状そのものを消すことだけではありません。
なぜ学校に向かおうとすると、身体が反応するのか。何が本人にとって負荷になっているのか。何を避けるために、身体が止まっているのか。
ここを見る必要があります。
確認したいのは、次のような点です。
宿題や提出物がたまっていないか
テストや成績への不安がないか
授業についていけているか
友達関係で孤立や緊張がないか
部活で無理をしていないか
先生との関係で強い苦手意識がないか
朝の準備や通学自体が負担になっていないか
夜更かしや昼夜逆転が始まっていないか
スマホ、ゲーム、YouTubeが現実逃避になっていないか
ここで見たいのは、単なる原因探しではありません。
「この子は、学校生活のどの部分で止まっているのか」「本人側の課題と、環境側の課題はどちらが大きいのか」「家庭で支えるべき部分と、学校と連携すべき部分はどこか」
この整理が必要です。
RAYでは、朝の体調不良をどう見立てるか
RAYでは、朝の体調不良があるお子さんに対して、最初から「仮病」とは見ません。一方で、「体調不良があるから、登校の話は一切しない」とも考えません。
まずは、医療的な確認が必要な状態かを整理します。そのうえで、家庭・学校・本人のどこに課題があるのかを見ていきます。
家庭では、親御さんの不安や焦りが強くなり過ぎていないか。学校では、友達、先生、勉強、通学環境にどのような負担があるのか。本人には、神経質傾向、完璧主義、プライドの高さ、失敗回避、生活リズムの乱れなどがどのように出ているのか。
この三つを分けて整理しないと、対応がずれます。
たとえば、医療的な配慮が必要な子に「気合いで行きなさい」と言うのは間違いです。逆に、本人の不安や回避の課題に向き合う必要がある子に、「体調が悪いならずっと休んでいい」とだけ言い続けるのも、長期化につながることがあります。
大切なのは、体調不良を否定しないこと。そのうえで、体調不良の奥にある課題から目をそらさないことです。
よくあるご質問
Q. 朝だけお腹が痛くなります。仮病と考えてよいですか?
すぐに仮病と決めつけない方がよいです。朝の学校に向かう時間帯だけ身体症状が出ることはあります。本人にとっては、その瞬間、本当に痛い、気持ち悪い、起き上がれないという感覚が起きている可能性があります。
ただし、腹痛があるからといって、背景を見なくてよいわけではありません。医療的な確認をしたうえで、学校生活のどこに負担があるのかを整理することが大切です。
Q. 病院では異常なしと言われました。それでも休ませてよいのでしょうか?
異常なしと言われても、本人のつらさが存在しないという意味ではありません。ただし、毎朝のように体調不良で休む流れが続いている場合は、休ませる・休ませないだけで判断するのではなく、学校に向かうときに何が起きているのかを見る必要があります。
腹痛や頭痛が落ち着いた後に、本人と学校の何が不安なのかを整理してみてください。
Q. 起立性調節障害と診断された場合、学校復帰は考えない方がよいですか?
起立性調節障害では、朝起きにくい、倦怠感、頭痛などが見られ、学校生活に影響することがあります。医療機関での診断や治療、生活面の調整、学校との連携が必要です。
ただし、診断があるからといって、学校との関わりを完全に切る必要があるとは限りません。本人の体調に合わせて、保健室登校、別室登校、短時間登校、オンライン学習などを含め、現実的な関わり方を学校と相談していくことが大切です。
Q. 午後は元気にゲームをしています。注意してもいいですか?
注意の前に、流れを見る必要があります。
朝は体調不良で休む。登校時間を過ぎると安心して元気になる。そのままゲームやYouTubeで一日が終わる。
この流れが固定されると、生活リズムや再登校の意欲が崩れやすくなります。
ただし、「朝休んだのにゲームするな」と責めるだけでは、親子関係が悪くなりやすいです。休んだ日の過ごし方は、家庭内であらかじめ線引きをしておく方がよいです。
たとえば、「体調不良で休む日は、午前中は休養を優先する」「ゲームや動画は午後から、時間を決める」など、罰ではなく生活を整えるためのルールとして扱うことが大切です。
まとめ
朝の体調不良は、仮病か本当かという二択で見ると、対応を誤りやすくなります。
まず、その瞬間の痛みや気持ち悪さは本当にあるものとして扱う。必要であれば、医療機関で身体の状態を確認する。そのうえで、学校に向かおうとしたときに、なぜ身体が反応するのかを見ていく。
ここが大切です。
体調不良を否定する必要はありません。しかし、体調不良があるからといって、学校生活の課題や本人の性格傾向、生活リズムの問題から目をそらしてよいわけでもありません。
不登校対応で大切なのは、痛みを疑うことではなく、痛みの奥にある課題を整理することです。
一人で抱え込まず、必要なときは早めにご相談ください。
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※本記事は、不登校支援の観点から一般的な考え方を整理したものです。強い症状や長引く体調不良がある場合は、必ず医療機関にご相談ください。





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