子どもが不機嫌になると、必要な話まで引っ込めていませんか

親子の会話をイメージしたAI生成画像です。
子どもが不機嫌になると、必要な話なのに、伝えるのをやめてしまっていませんか。
例えば、食べ終わったお皿を片づけてほしいと声をかけたら、子どもが嫌そうな顔をした。「今言うと、また揉めるな」と思って、結局自分で片づける。帰りが遅くなるなら連絡してほしいけれど、面倒くさそうにされるので、今日も言わずに終わる。
一つひとつは小さなことかもしれません。しかし、それが続いて、親の方が言いたいことを言えなくなってはいないでしょうか。
子どもが不機嫌にならなかったことと、必要な話ができたことは、同じではありません。その場が静かに済んでも、親が困っていることまで解決したわけではないのです。
「今はやめておこう」が、いつもになっていませんか
疲れて帰ってきた直後や、何かに集中している最中など、話すタイミングを変えた方がよい場面はあります。何でも今すぐ話せばよいということではありません。
ただ、ここで確かめたいのは、話す時間を変えているのか、それとも話すこと自体をやめているのかです。
「今日は疲れているから」「せっかく機嫌がいいから」「今言うと、また嫌な顔をされるから」。そう考えているうちに、いつまでも話せない。最後には「私がやった方が早い」と、親が引き受けてしまう。
これでは、子どもが何を考えていたのかも、親が何に困っていたのかも、分からないままです。子ども自身は、親がそこまで困っていることに気づいていないかもしれません。
「今は話さない」と決めたなら、「では、いつ話すのか」まで考えておくことが大切です。タイミングを選ぶことが、必要な話を避け続ける理由になっていないか、一度振り返ってみてください。
嫌そうな顔をした理由まで、決めつけない
子どもが嫌そうな顔をすると、「何を言っても聞く気がない」「不機嫌になれば親がやってくれると思っている」と感じることもあるでしょう。
しかし、その表情だけで、本人の考えまでは分かりません。疲れていたのか、同じことを何度も言われるのが嫌だったのか。言われた内容ではなく、言い方に引っかかった可能性もあります。
例えば、「今やろうと思っていたのに」と返ってきたなら、すぐに「いつもそう言うでしょう」と重ねず、まずはいつやるつもりだったのかを聞く。そのうえで、食卓を使う人がいる、洗い物を済ませたいなど、こちらの事情も伝えます。
本人の話を聞くことは、要求を全部受け入れることではありません。親の思いを伝えることも、相手の話を聞かずに従わせることではありません。私は、この両方があって初めて、家庭の中で話し合うことができると考えています。
伝える前に、それは誰が困っている話なのか
ここで、「必要なことなら、子どもが嫌がっても全部言おう」と考えてしまうと、今度は指摘ばかりになってしまいます。
例えば、自分の部屋で本をどう並べるかは、本人に任せられることもあるでしょう。一方、家族が使うテーブルに物が広がって食事の準備ができないなら、親にも困っていることがあります。
同じ「片づけてほしい」でも、親の好みに合わせてほしい話なのか、共同生活の中で実際に支障が出ている話なのかで、伝える内容は変わります。
「だらしない」「普通は片づけるでしょう」では、相手の性格や常識を問う話になります。それよりも、何が置かれていて、誰が何に困っていて、どうしてほしいのかを具体的にする方が、話し合う内容がはっきりします。
「テーブルに物があると、夕飯を並べられなくて困るんだ。食事の前には空けてほしい。どこに置くか、一緒に考える?」
これは説明のための一例です。この言葉を使えば素直に聞く、という話ではありません。片づけるのは本人に任せつつ、置く場所や手順が分からないなら一緒に考える。年齢や本人のできることに合わせて、必要な支え方も変えていきます。
親の話を聞いてもらうなら、本人の話も聞く
必要な話をする時に、「今日は絶対に分からせよう」と構えてしまうことがあります。けれど、最初から親の結論に同意させるつもりで聞いても、それは話し合いにはなりません。
例えば、帰宅が遅くなる時の連絡について話したいなら、「どうして連絡しないの」と責める前に、本人が連絡についてどう考えているのかを聞く。そのうえで、「予定が分からないと、夕飯を待つのか判断できなくて困る」と、自分が困っていることを伝えます。
話を聞いてみると、何時からが遅いのか、どんな時に連絡が必要なのか、親子で認識が違っていることもあるでしょう。そこが分かれば、連絡する目安や方法を一緒に決められます。
もちろん、その場で決まらないこともあります。「今日はここまでにして、明日の夕飯の後に続きを話そう」と、話す機会を改めても構いません。疲れている時や気持ちが高ぶっている時に、無理に話を続ける必要はありません。
目指したいのは、子どもに「はい」と言わせることではなく、お互いの事情を知り、どうするかを決めていくことです。
なお、怒鳴る、物を壊す、手が出るなど、親が身の危険を感じる状況では、その場で話をやり切ろうとしないでください。距離を取り、家庭だけで抱えずに支援を求めることが先です。
親が我慢し続けることを、良い関係にしない
子どもと揉めたくないという気持ちはあると思います。ようやく会話が増えてきたのに、余計なことを言って関係を悪くしたくない。そんな時ほど、言葉を選ぶでしょう。
ただ、親が困っていることを何も言えず、子どもの機嫌を見ながら生活しているなら、その関わり方は見直す必要があります。
次に何かを言うのをやめようと思った時には、まず二つ、確かめてみてください。
今やめようとしているのは、本人に任せてよい口出しか。それとも、家族として必要な話か。
今は話さないとして、いつ、何を伝え、本人には何を聞きたいのか。
言わなくてよいことを減らすことと、言うべきことまで引っ込めることは違います。親が話しすぎていないかを振り返るのと同じように、親の思いを伝えられているかも、確かめてほしいと思います。
子どもの気持ちは受け止める。しかし、親が困っていることまで、なかったことにはしない。お互いに思いを伝え、聞き合える関係を、日々の小さなやり取りから作っていきましょう。
口を出しすぎているのか、必要なことまで引っ込めているのか。その線引きは、ご家庭の状況によっても変わります。不登校に伴う家庭での関わりに迷っている方は、今どんな話ができずにいるのかも含めて、RAYの相談・お問い合わせからお聞かせください。
先回りの助言と必要な支援の違いについては、過干渉・過保護が不登校を長引かせる?「必要な干渉」と「やりすぎ」の線引きもご覧ください。



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