子どもに自信を持たせる方法
- 4月22日
- 読了時間: 8分
更新日:5月7日
代表理事略歴
・関西復学支援機関にて東京支部室長を10年歴任
・(一社)不登校解決支援センターRAY代表理事
・文部科学省家庭教育支援研究委員
所持資格
・公認心理師/教育カウンセラー/家庭教育アドバイザー/復学支援カウンセラー
SNSでは『こまち先生』として活動し、総view数は100万を突破!
子どもに自信をつけたいなら、「褒める」より「承認」が大切です
不登校の対応について調べていると、「どんな小さなことでも褒めましょう」「とにかく自信をつけてあげましょう」といった助言を見かけることが多いと思います。実際、親御さんからも「褒めるようにしているのに、全然響いていない気がする」というご相談をよくいただきます。
ここで一度立ち止まって考えたいのは、そもそもその声かけが、お子さんにどう届いているのかということです。親としては励ましているつもりでも、お子さん側は「コントロールされている」「思い通りに動かそうとしている」と受け取っていることが少なくありません。
本記事では、子どもに自信をつけたいとき、なぜ「褒める」より「承認」が大切なのか。その違いと、家庭での具体的な関わり方を整理していきます。
この記事でお伝えしたいこと
「褒める」と「承認する」は、似ているようで中身がかなり違うこと
不登校の子に自信をつけたいからといって、何でも褒めればよいわけではないこと
お子さんに届く関わり方は、評価や判断を足すことではなく、事実をまっすぐ受け止めることから始まること
なぜ「褒める」がうまくいかないことがあるのか
親御さんが子どもを褒めるとき、その背景にはたいてい意図があります。
この行動を続けてほしい。もっと増やしてほしい。ここから社会復帰や自立につながってほしい。
そういった願いです。とても自然ですし、親として当然の思いでもあります。ただ、この意図は意外なほど伝わります。小さい子でも敏感に感じ取ることがありますし、中学生、高校生になってくると、なおさらです。
たとえば、家で勉強している姿を見て、
「頑張ってるね」「こんな遅い時間なのによくやってるね」
と声をかける。よくある場面だと思います。けれど、このときお子さんが
「うるさいな」「あっち行っててよ」
と返してきた経験のある方は多いのではないでしょうか。
これを単なる照れ隠しとだけ受け取ると、対応を見誤ります。実際には、「親の思い通りにはなりたくない」「その意図が見えて嫌だ」という反応が含まれていることもあります。場合によっては、親の前ではその行動をしなくなることさえあります。
褒めるには、評価と判断が入りやすいです
ここが本題です。
褒めるという行為には、多くの場合、評価と判断が含まれています。
それは良い行動だ
続けるべきだ
もっと増やしたほうがいい
今のあなたは評価に値する
こういったメッセージです。言葉にしていなくても、含まれています。
だから褒められた側は、そこに「見られている感じ」「採点されている感じ」を覚えることがあります。年齢が上がるほど、その違和感は強くなりやすいです。
一方で、承認は違います。承認には、基本的に評価や判断を含めません。
そこにある行動や事実を、そのまま受け止める。その行動に向き合ったことを、正直に認める。出発点はそこです。
言葉だけ見れば、大きくは変わらないこともあります。でも、そこに含まれる意図が違うだけで、受け取られ方はかなり変わります。
不登校の子に「どんどん褒めましょう」がずれやすい理由
不登校対応では、「自信をつけるために、とにかく褒めましょう」と言われることがあります。朝起きられた。ご飯を食べられた。机に少し座れた。外に出られた。そういう小さな行動を、どんどん褒めていく考え方です。
私は、この考え方はかなりずれやすいと思っています。
問題は、親御さんが本気でその言葉を伝えられているかどうかです。褒めるために褒めていないか。行動を加速させて、いずれ学校に戻ってほしい、自立してほしいという意図を隠していないか。そこを見ないと苦しくなります。
褒める対応を続けると、まず親御さん自身が疲れてきます。「今日は何を褒めればいいんだろう」と探すようになるからです。それはもう自然な関わりではありません。仕事のようになります。
お子さん側も同じです。素直に受け取れない子は反発します。逆に、素直に受け取るタイプのお子さんであれば、今度は自立のハードルが下がってしまうことがあります。
それは本当に「褒めるべきこと」なのでしょうか
たとえば、中学生のお子さんが朝9時に起きてきたとします。昨日より1時間早かった。そこで、
「今日は昨日より1時間早く起きられたね」
と褒める。けれど、本来学校があるなら朝7時には起きる必要があります。
このとき本当に必要なのは、褒めることなのでしょうか。私は違うと思っています。
同じように、高校生のお子さんが週に1回、1時間だけ塾に行けたとします。それは意味のある一歩です。向き合ったこと自体には価値があります。でも、本来であれば学校に毎日通い、何時間も学んでいく年齢です。
このときも、「すごいね」「偉いね」と褒めるのは、少し違うのではないかと思います。それは自信をつけるというより、自立のハードルを下げてしまう危うさがあります。
ここに必要なのは、褒めることではなく承認です。
承認とは、「その行動に向き合った事実」を認めることです
承認は、持ち上げることではありません。事実を見て、その意味を正直に受け止めることです。
たとえば、
「今日は塾に行ったんだね」「机に向かったんだね」「朝、昨日より早く起きてきたんだね」「しんどい中でもそこには向き合ったんだな」
こうした言葉です。
ここには、「偉い」「すごい」「そのままもっとやってほしい」といった評価を足していません。ただ、起きた事実と、そこに向き合ったことを認めています。
承認は、お子さんを甘やかすことではありません。現実を小さくすることでもありません。むしろ逆です。現実を現実として見たうえで、その中で起きたことを正確に受け止める姿勢です。
家庭でできる関わり方のポイント
1. 「偉いね」「すごいね」を減らし、事実を言葉にする
まずはここからです。
たとえば、
「頑張ったね」ではなく「今日は机に向かったんだね」
「偉いね」ではなく「しんどい中でも行ったんだね」
この違いは小さく見えます。でも、前者は評価です。後者は承認です。
2. 親の期待を言葉の裏に隠さない
本当は「もっとやってほしい」と思っている。「これを続けてほしい」と願っている。それ自体は悪いことではありません。
ただ、その期待を隠したまま褒めると、相手は違和感を持ちます。それなら、いっそ分けて考えたほうがいいです。
まずは承認する。その上で、必要なら別の場面で現実の話をする。ここを混ぜないことです。
3. 自信は「持たせる」より、「向き合えるようにする」ことが大切です
親御さんが望んでいるのは、多くの場合「自信を持ってほしい」ということだと思います。でも、お子さんの中には心のどこかで、自信を持ちたくない、自信を持つのが怖い、という感覚を抱えている子もいます。
自信がついたら、もっとやらなければいけなくなる。期待される。失敗した時に余計につらい。そう感じていることがあるのです。
だから、褒めても入っていかない。励ましても響かない。ここにはそれなりの理由があります。
この点についてはとても大事なので、次回の記事で詳しく扱いたいと思います。
同じようなケースに、RAYではこう関わっています
RAYでは、お子さんに自信をつけたいというご相談を多くいただきます。そのとき、単純に「もっと褒めましょう」とはお伝えしていません。
見ていくのは、
親御さんの言葉にどんな意図が乗っているのか
お子さんがその言葉をどう受け取っているのか
自信がつかない背景に、どんな心理があるのか
家庭の中で、評価と判断がどれくらい強くなっているのか
といった部分です。
お子さんの表面の反応だけを見ていると、「反抗的だな」で終わってしまいます。でも実際には、その反抗の奥に「評価されたくない」「思い通りにされたくない」「期待が重い」といった感覚が隠れていることが少なくありません。
だからこそ、褒め方を工夫するより先に、関わり方の土台を見直すことが必要だと考えています。
よくあるご質問
Q. 褒めることは、全部やめたほうがいいのでしょうか?
私は基本的には必要ないと考えています。少なくとも、不登校対応の中で「自信をつけるために何でも褒める」というやり方はずれやすいです。大切なのは、評価や判断を足すことではなく、承認することです。
Q. 承認と甘やかしはどう違うのでしょうか?
甘やかしは、現実のハードルそのものを下げてしまうことがあります。承認はそうではありません。現実は現実として見たうえで、その中でお子さんが向き合ったことを認める関わりです。基準を下げることとは別です。
Q. 何と言えば承認になるのかわかりません
まずは、起きた事実をそのまま言葉にしてみてください。「今日はそこに行ったんだね」「しんどい中でも座ったんだね」「今はそう感じてるんだね」そこに「偉い」「すごい」を足さず、事実と気持ちを受け止めることから始めるとよいです。
まとめ
子どもに自信をつけたい。そう願う親御さんはとても多いです。けれど、その方法が「褒めること」に偏ると、かえってうまくいかなくなることがあります。
褒めるには、評価や判断が入りやすい。親の意図も乗りやすい。それは年齢が上がるほど伝わります。
必要なのは、褒めることではなく承認です。その行動に向き合った事実を、正直に認める。評価を足さずに受け止める。そこから関係は変わっていきます。
そしてもう一つ大切なのは、そもそもお子さん自身が、心のどこかで自信を持ちたくないと感じている場合があるということです。この点については次回の記事で詳しく扱います。





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