ゴールデンウィーク明けに不登校が増える理由
- 5月7日
- 読了時間: 12分
代表理事略歴
・関西復学支援機関にて東京支部室長を10年歴任
・(一社)不登校解決支援センターRAY代表理事
・文部科学省家庭教育支援研究委員
所持資格
・公認心理師/教育カウンセラー/家庭教育アドバイザー/復学支援カウンセラー
SNSでは『こまち先生』として活動し、総view数は100万を突破!
ゴールデンウィーク明けになると、「連休前までは行けていたのに、急に学校へ行けなくなった」というご相談が増えてきます。
4月は、新しいクラス、新しい先生、新しい友達関係、新しい勉強の進み方に慣れようと、子どもたちが想像以上に力を使っている時期です。その緊張が、ゴールデンウィークという長い休みを挟むことで一度ゆるみ、休み明けに再び学校へ戻ることが難しくなるケースがあります。
本記事では、ゴールデンウィーク明けに不登校や行き渋りが起こりやすい理由と、親御さんが最初に確認しておきたいポイントを整理します。
この記事でお伝えしたいこと
ゴールデンウィーク明けに学校へ行きづらくなる背景
「体調不良」「友達関係」「勉強の不安」を、原因ではなく“きっかけ”として見る視点
家庭で最初に確認したいことと、親御さんが避けてみたい関わり方
ゴールデンウィーク明けに何が起きるのか
4月の新学期は、子どもにとって大きな環境変化の時期です。
新しいクラスに慣れる。友達関係を作る。先生の雰囲気をつかむ。新しい時間割や勉強の進み方に合わせる。部活動や委員会、習い事とのバランスを取り直す等。
大人から見ると「普通に登校できている」「楽しそうに見える」と感じることもあります。
しかし、子どもの内側では、かなり無理をしていることがあります。
たとえば、友達に合わせるために本来の自分とは違う振る舞いをしていたり、失敗しないように気を張り続けていたり、先生やクラスの空気を読み過ぎて疲れていたりすることがあります。
この状態でゴールデンウィークに入ると、学校から一度距離ができます。
休みの間に緊張がほどけることで、子ども自身が「学校に戻るしんどさ」に気づいてしまうことがあります。
そのため、休み明けの翌日から行けなくなる子もいれば、ゴールデンウィーク明けから1週間、2週間ほど経ってから、ある日突然行けなくなる子もいます。
特に注意したいのは月曜日です。
ゴールデンウィーク明けに何とか数日登校できても、その後の土日を挟んだ月曜日に、再び学校へ向かう負担が大きくなることがあります。
文部科学省の令和6年度調査でも、小・中学校の不登校児童生徒数は353,970人と過去最多となっており、不登校は一部の家庭だけの問題ではなくなっています。
また、不登校児童生徒について学校が把握した事実としては、「学校生活に対してやる気が出ない等の相談」が30.1%、「生活リズムの不調」が25.0%、「不安・抑うつの相談」が24.3%と報告されています。
ここで大切なのは、数字だけを見て焦ることではありません。「うちの子に、いま何が起きているのか」を丁寧に分けて見ることです。
「体調不良」はサインであることが多い
ゴールデンウィーク明けの行き渋りでは、最初に体調不良として表れることがよくあります。
「お腹が痛い」「頭が痛い」「少し熱っぽい」「気持ち悪い」「朝起きられない」「夜眠れない」
もちろん、本当に体調を崩している場合もあります。
そのため、腹痛や頭痛、発熱、強いだるさがあるときは、まず体調の確認や医療機関への相談を優先してください。
ただし、検査では大きな異常が見つからないにもかかわらず、学校のある朝だけ症状が強く出る場合は、学校生活に対する負担が身体症状として出ている可能性があります。
ここで親御さんが避けたいのは、すぐに「仮病でしょ」「気のせいでしょ」と決めつけることです。子どもにとっては、実際にお腹が痛い、頭が痛い、起き上がれないという感覚が起きています。
同時に、体調不良だけを理由として扱い続けると、背景にある学校生活の負担や本人の課題が見えなくなることがあります。
大切なのは、身体の状態を確認しながら、その奥にある不安や負担も見ていくことです。
「理由」と「きっかけ」を分けて考える
ゴールデンウィーク明けに学校へ行けなくなったとき、お子さんが何かしらの理由を話すことがあります。
「宿題が終わっていない」「部活で嫌なことを言われた」「友達とうまくいっていない」「勉強がわからなくなってきた」「先生が合わない」「朝起きられない」「学校がめんどくさい」
これらは、とても大切な情報です。
ただし、多くの場合、それは不登校の“原因”というより、“きっかけ”です。
たとえば、宿題ができなかったこと自体が問題なのではなく、宿題ができなかったときに「もう学校に行けない」と感じてしまう背景があるかもしれません。
友達とのトラブルそのものだけでなく、トラブルを受け止めたり、修復したり、翌日また同じ場に行ったりする力が十分に育っていないのかもしれません。
先生との相性だけでなく、合わない相手とどう距離を取り、どう折り合いをつけるかという課題があるのかもしれません。
つまり、見るべきなのは「何があったか」だけではありません。
その出来事に対して、お子さんがどのように受け止め、どのように行動し、どこで止まっているのかです。
ここを見ずに、表面的なきっかけだけを取り除こうとすると、別の場面でまた同じように行きづらさが出ることがあります。
背景にある本人側の課題と環境側の課題
ゴールデンウィーク明けの不登校を整理するときは、大きく分けて二つの方向から見ていきます。
一つは、本人側の課題です。たとえば、次のような傾向が関係していることがあります。
神経質で、小さな失敗を強く気にする
完璧主義で、少し崩れると一気にやる気を失う
プライドが高く、できない自分を見せることが苦手
頑固で、気持ちの切り替えに時間がかかる
人に合わせ過ぎて、学校で疲れをためやすい
嫌なことがあると、その場から距離を取りたくなりやすい
もう一つは、環境側の課題です。
たとえば、通学時間が長い、電車の乗り換えが多い、学校まで1時間以上かかる、クラスの雰囲気が合わない、担任の先生との相性が極端に悪い、部活動の負担が大きいなどです。
環境側の負担が大きい場合は、学校との連携が必要になることがあります。担任の先生との関係が極端に悪化している場合や、友達関係で継続的なトラブルがある場合は、親御さんだけで抱えず、学校と事実確認をしながら対応を考える必要があります。
ただし、ここで一つ現実的に見ておきたいことがあります。
学校生活では、多少合わない先生、気の合わない友達、苦手な活動、思い通りにならないルールが必ずあります。それらをすべて環境側に変えてもらうことはできません。
もちろん、いじめや明らかな不適切指導、安全上の問題がある場合は別です。
しかし、そうでない場合は、環境を変えることだけでなく、お子さん自身がその環境に少しずつ適応していく力を育てる視点も必要になります。
「それくらいで?」と言いたくなったときほど注意が必要です
親御さんから見ると、子どもが話す理由が小さく見えることがあります。
「宿題が少し終わっていないだけで?」「友達に一言言われただけで?」「先生に少し注意されただけで?」「そのくらい、みんな経験しているのに」
そう感じること自体は自然です。しかし、それをそのまま言葉にするのは避けてみましょう。
「それくらいで休むの?」「あなたにも悪いところがあったんじゃないの?」「みんな我慢しているよ」「そんなこと気にしなくていいよ」
こうした言葉は、親御さんとしては励ましや現実を教えるつもりでも、お子さんには「自分のしんどさをわかってもらえなかった」と届くことがあります。
まず必要なのは、正論ではなく整理です。
「宿題が終わっていないことが気になっているんだね」「部活で言われたことが、ずっと引っかかっているんだね」「学校へ行くことを考えると、体が重くなる感じがあるんだね」
このように、まずはお子さんの中で起きていることに名前をつけていきます。
そのうえで、落ち着いてから「では、どうしていくか」を考えます。
今日から家庭で確認したい3つのポイント
1. 4月に無理をしていなかったかを振り返る
ゴールデンウィーク明けの不登校は、連休明けに突然始まったように見えて、実際には4月の疲れが積み重なっていることがあります。
次のような様子がなかったか、親御さん側で振り返ってみてください。
以前より口数が少なくなっていた
帰宅後すぐにスマホ、ゲーム、YouTubeに没頭していた
夜寝る時間が遅くなっていた
朝起きる時間が少しずつ遅くなっていた
「疲れた」「めんどくさい」「嫌だ」が増えていた
宿題や提出物への取りかかりが遅くなっていた
学校の話題を避けるようになっていた
週末に極端にぐったりしていた
ここで大切なのは、責める材料を探すことではありません。「どのあたりから負担が大きくなっていたのか」を見つけることです。
2. 生活リズムと現実逃避の増え方を見る
行き渋りや不登校の前には、生活リズムの乱れが出ていることがあります。
文科省の調査でも、不登校児童生徒について把握した事実として「生活リズムの不調に関する相談」が小・中学校合計で25.0%と報告されています。
特に見たいのは、スマホ、ゲーム、YouTubeなどの時間が増えていないかです。
もちろん、これらを使うこと自体が悪いわけではありません。問題は、学校生活や宿題、睡眠、家族との会話から目をそらすために、逃げ場として使われているかどうかです。
「最近、動画を見る時間が長いな」「宿題の前になるとゲームに逃げているな」「学校の話題になるとスマホを触り始めるな」
こうした様子がある場合は、単に使用時間だけを制限するよりも、その背景にある不安や負担を見る必要があります。
3. 勉強・友達・先生のどこで止まっているかを見る
ゴールデンウィーク明けは、勉強の遅れや人間関係の不安が表面化しやすい時期です。
確認したいのは、次のような点です。
宿題は出せていたか
授業内容についていけている様子があったか
近くにテストや提出物がないか
部活動で負担が増えていないか
友達関係で気を遣い過ぎていないか
担任や教科担当の先生に強い苦手意識がないか
ただし、ここでも親御さんがすぐに命令・指示・提案を重ねるのは避けてみましょう。
「じゃあ先生に言ってあげる」「明日から宿題は一緒にやろう」「その子とは距離を取りなさい」「とにかく行けば何とかなるよ」
こうした言葉が必要な場面もあります。しかし、最初から親御さんが答えを出し過ぎると、お子さん自身が自分の問題として考える機会が減ってしまいます。
まずは、「何に困っているのか」「本人はどう見えているのか」「本当はどうしたいのか」を聞くことから始めてみてください。
同じようなケースに、RAYではこう関わっています
RAYでは、ゴールデンウィーク明けの不登校や行き渋りに対して、まず「休ませるか、行かせるか」だけで判断しません。
最初に行うのは、家庭・学校・本人のどこに課題があるのかを整理することです。
家庭では、親御さんの命令・指示・提案が多くなり過ぎていないか。学校では、先生や友達、勉強、通学環境にどの程度の負担があるのか。本人には、神経質傾向、完璧主義、プライドの高さ、切り替えの苦手さ、生活リズムの乱れなどがどのように出ているのか。
そのうえで、親御さんとの面談では家庭内対応を整理し、お子さんには必要に応じてコーチングやカウンセリングを行います。
不登校は、親御さんだけで抱え込むには負担が大きすぎることがあります。特にゴールデンウィーク明けは、初期対応を誤ると、五月雨登校から長期化へ進んでしまうこともあります。
早い段階で状況を整理することが、その後の回復を大きく左右します。
よくあるご質問
Q. ゴールデンウィーク明けに1日休んだだけでも、不登校を心配した方がいいですか?
1日休んだだけで、すぐに不登校と決めつける必要はありません。体調不良や疲れが出ることもあります。
ただし、その後も月曜日に休みやすい、週に1回は休む、朝になると腹痛や頭痛が出る、学校の話題を避けるといった様子が続く場合は注意が必要です。休んだ日数だけではなく、休み方のパターンを見ていきましょう。
Q. 本人が理由を話してくれない場合は、どうすればいいですか?
無理に聞き出そうとすると、かえって話さなくなることがあります。まずは、親御さん側で4月からの様子を振り返ってみてください。
睡眠、朝の起き方、スマホやゲームの時間、宿題、友達の話、先生の話、帰宅後の疲れ方などを整理すると、本人が言葉にできていない負担が見えてくることがあります。
そのうえで、聞くときは「なんで行けないの?」ではなく、「学校のことを考えると、どのあたりが一番重い感じがする?」のように、責めない聞き方を意識してみてください。
Q. 先生との相性が悪い場合、学校に相談してもいいのでしょうか?
相談して構いません。ただし、「先生を変えてください」「うちの子に合わせてください」と最初から要求する形ではなく、まずは事実を整理して共有することが大切です。
どの場面で、何が起きて、本人がどう受け止めているのか。家庭ではどのような様子が出ているのか。学校で確認できることは何か。
この順番で話すと、学校側とも連携しやすくなります。
一方で、多少の相性の悪さや緊張をすべて学校側に変えてもらうことは現実的ではありません。本人がどう折り合いをつけていくか、家庭でどのように支えるかも同時に考える必要があります。
まとめ
ゴールデンウィーク明けの不登校は、休み明けに突然起きたように見えて、実際には4月からの疲れや無理が積み重なっていることがあります。体調不良、友達関係、勉強、先生との相性といった理由は大切なサインですが、それだけを原因と決めつけず、本人の性格傾向や環境との相互作用まで見ていくことが必要です。
親御さんが最初にするべきことは、焦って命令・指示・提案を重ねることではありません。まず背景を整理し、子どもの中で何が起きているのかを丁寧に見ていくことです。
一人で抱え込まず、必要なときは早めに相談してください。
※本記事で紹介している制度・統計は執筆時点の情報です。最新の学校要項や都道府県教育委員会、文部科学省の資料を必ずご確認ください。





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